【二人がここにいる不思議】レイ・ブラッドベリ(新潮文庫・伊藤典夫訳)
ブラッドベリの短編集。23編を収録。
ブラッドベリはやっぱり短編がいいですね。って長編といえば「華氏451度」と「火星年代記」しか読んでへんねんけど。「火星年代記」にしたって、読みようによっては短編集といえなくもないしね。
23編もあるので、どれがどうといちいちいうこともできませんが。ともかくどれも面白かったな。短編ならではのどんでん返しとかがあってね。
かと思えば、まったく何の転換もなく終わる話もあったりしてね。そういう肩すかしもまたおもしろい。読み手の予想をいい意味で裏切ってくれる。
日常をかけ離れた荒唐無稽とも思える話もあれば(十月の西)、日常からかけ離れそうで実はなにも起こらないという話もあり(トインビー・コンペクター)。そういうことやから、話がどういう風に展開していくのかが読めない面白さがあるんですよね。
(2005/11/30)
同じ作家の「ソラリス」(小説名:ソラリスの陽のもとに)は、タルコフスキー監督の映画を見に行きましてね。SFやのにきれいな映画でね。ごっつい宇宙船が出てくるには出てくるねんけど、物語の中心は宇宙ステーションの中の生活でして。派手なところがほとんどない映画でしたね。アメリカ製のSF映画(ミクロの決死圏とか)とか日本の怪獣映画を見慣れてた身としては、なかなか新鮮でしたが。あ、小説は読んでません。落丁があって(^◎^;)。
「砂漠の惑星」(原題:無敵)は、「ソラリス」に比べると派手な戦闘シーンもありましてね。未知の生物(実は無生物)との対決なんですが。そうなるとただの「SF戦闘もの」になるか、というとそうではなく。
「もともとこの星に居るものと戦う意味は、どこにあるのか」という疑問を突きつけてくるんですな。ですんで、最後に人間が勝利して終わる、という「エイリアン」的な結末でないところがいいですね。
ところでしょうもないことやねんけど、レムは「スタニスラフ」というときと「スタニスワフ」というときとあるんですね。アルファベットでは「Stanislaw」という綴りになってます。まあ、日本語に直すのに無理がある発音なんやろな。
(2005/11/7)
「チャーリーとチョコレート工場」が映画化されてヒット中ですな。原作者のダールが注目されるのもうれしいです。が、わしにとってはダールと言えば「短編の名手」で、「皮肉なユーモア」「ブラック・ユーモア」のお手本のように思ってるんですが。
この本は4編の短編(中編)集でして。まあわしの好きなダールのユーモアが生きてますな。
4編とも、ちょっと艶っぽい話ですがね。
表題にもなってる「来訪者」は、知ってる話やったな。それも確かラジオで、淀川長治さんが「ヒッチコックに聞いた」話として語ってはってね。
今となってはどうか(つまり、現代という時代)と思うところもあるけどね。性に関する考え方も、あるいは風俗も変わってきてるし。だいたいが小説世界で扱う性の問題っていうのが、まったく様変わりしてるからなあ。
とはいえ。一流のユーモア小説は、変わらぬ魅力を放ってるんですな。さすが。
(2005/11/1)