7.ミーティング

 毎日調査終了後に班ミーティング、全体ミーティングを行います。
 班ミーティングでは、統括者が中心となって、その日取ったデータを一つの図にまとめるとどうなるかを調査員に示し、それをもとにして集団の分布を話し合いながら推定します。定点調査者は、自分のデータがどのようにまとめられていくのかをよく見ておいて下さい。統括者は、できる限り調査の全体像が定点調査者に伝わるように配慮して下さい。
 全体ミーティングではその日の調査結果の報告と連絡事項の伝達を行い、その日の調査の反省などを全員で話し合います。

8.食事当番

 食事当番(食当)の詳しい仕事の内容は各班の食当ノートに書いてあります。
 食当は毎日交替で行います。日の出の時刻(5:45頃)には班員が出発できるように朝食を用意して下さい。夕食はその日の調査員のデータのまとめが終わってからとします。皆さんおなかが空いているでしょうが、食当の人は全員のまとめが終わるまで夕食を始めないで下さい。
 1日3回の気象通報を聞いて天気図を書くのを食当の仕事とします。ただし、午後10:00からの分については翌日の食当が行って下さい。食当は食当ノートに書かれてあるやり方に従って、在庫確認を行って下さい。また、キャンプサイト近くにサルが出てきた場合、記録を取っておいて下さい。
 食当の日は調査は休みです。十分休養を取って下さい。

9.調査器具の使い方

 調査器具の中には高価なものがあり、また調査参加者の好意によって使わせてもらっているものがあります。くれぐれも壊すことのないように大切に扱い、その使用法を各自よく確認しておいて下さい。
・トランシーバー
 トランシーバーは必要なとき以外は交信しないで下さい。混信して必要な情報が伝わらなかったり、サルの音声を聞き逃すことになります。混信した場合は、連絡しあったうえで別のチャンネルに替えて交信して下さい。ただし、その後はもとのチャンネルに戻すのを忘れないで下さい。地形の関係で電波が届かなかったり、受信しかできなくなったりすることがありますが、そのような場合は木の上に乗るとか他の人に中継を頼んで下さい。
 トランシーバーは非常に水に弱いので、絶対に濡らさないようにして下さい。あらかじめビニールの袋に入れておき、使うときはアンテナだけを出すようにしておくと、急な雨にも濡れることはなく、また誤って水たまりに落としても大丈夫です。また、トランシーバーは比較的早く(早くて3日程度)電池を消耗してしまうので、替え電池を必ず携帯して下さい。
・双眼鏡
 防水されていない双眼鏡は、雨などでひどく濡れると中に水が入ってレンズが曇り、使えなくなります。雨が降ってきて双眼鏡を使わないときはカッパの内側に入れておくなどして、濡れないようにして下さい。また双眼鏡は使うのに多少慣れが必要ですので、肉眼で見ていたところをすぐに双眼鏡で見えるように定点で暇なときなどに練習しておくとよいでしょう。

10.ごみ

 ごみは屋久町の方式に従って、以下の通りに分別してください。これはキャンプ中も栗生の青少年旅行村宿泊中も同様です。いったん分別せずに出されたごみを分別しなおすことは非常に不快で大変です。一人一人がしっかりルールを守ってください。
●燃えるゴミ: 黄色の袋
紙容器・包装紙・紙くず・カバン(革製品)・新聞・雑誌・ダンボール・木綿・麻等の衣類など。
●生ゴミ: 旅行村ではコンポスト、キャンプ中は個別の袋
●燃やせないゴミ: 緑色の袋
ポリ容器・包装ビニール・牛乳パック・食品用ラップ類・履物・プラスチックや合成繊維などの石油製品。
●発泡スチロール類(資源ごみ): 青色の袋
魚のトロ箱・緩衝材・食品用トレー・カップめんの容器などの発泡スチロール製品。
●ペットボトル(資源ごみ): 青色の袋
●空き缶(資源ごみ): 青色の袋
中身は軽く洗うこと。
●空き缶・ガス缶以外の燃えないゴミ: 赤色の袋
金属類・ガラス類・陶器類・ナベ・茶碗類・スプレー缶(ガス抜きをしっかりする)・ガラスくず・アルミフォイルなど。
● ガス缶: 旅行村では管理棟前、キャンプ中は個別の袋
必ず穴をあけてください。
●廃乾電池: 旅行村では管理棟前のポリバケツ、キャンプ中は個別の袋

11.自然に対する配慮

 調査地は、国有林内であり、国立公園第1種特別地域や森林生態系保護地域などに指定され、厳重に保護された場所です。この調査は関係諸機関の許可を得て行われるものですが、やむをえない場合を除き伐採や土石の採掘など、現状を改変しないことが調査許可の条件になっています。また、このような調査は屋久島の自然が今まで保全されてきたからこそできるのであり、調査で入林する場合には、他の目的の入林よりも一層自然への配慮が求められていると言えます。このような事情を考慮して、自然に配慮した行動を心がけてください。具体的には、以下のことに注意してください。
 調査地の自然環境を変化させないために、草木を不必要に痛めないように配慮して下さい。たとえば、定点の見晴らしをよくするために枝を折る、座り心地をよくするために低木を刈る、木に名前を彫ったり落ち葉を持ち帰ったりする、などの行為はしないで下さい。これらの行為は調査者の倫理にもとる行為とも言えます。なお、定点までの調査ルートを作るときにやむを得ず支障木を伐採するときも、最小限にとどめるようにしてください。瀬切川右岸の国立公園内では、基本的に伐採はしないでください。
 調査地では、水場を汚さないため、食器類はトイレットペーパーで汚れを拭いて下さい。
 テン場近くで用を足す場合、指定された場所でするようにしてください。また、ティッシュペーパーではなく、トイレットペーパーを使うようにし、最後は土をかけて埋めておいて下さい。やむを得ずティッシュペーパーを使うような場合は、紙は燃やしてください。

12.その他の注意事項

 毎年、調査終了時にたくさんの忘れ物が出ます。これらのものは京都まで運び、事務局が保管しなければいけません。特に、タオルと靴下の忘れ物が非常に多いようです。自分の持ち物には名前を書き、各自でしっかり管理するようにしてください。
 緊急時に備えるため、非常食と水は必ずいつも携帯して下さい。
 緊急に避難する時に備え、また他の人に不快な思いをさせないためにも、自分の身の回りは常に整理整頓しておいてください。集会場、炊事場、車の中など、公共のスペースには私物をおかないでください。
 栗生の青少年旅行村に宿泊しているときは、我々が大人数であることを考慮し、他の宿泊客の人の迷惑にならないようにふるまってください。

13.緊急時の対応

 緊急時の大原則は
トランシーバーで交信することです。
 他の人の声を聞くだけでも安心できます。一人で無理をしないことです。統括者と連絡を取った上で、その指示に従って下さい。
(1)道に迷った場合
 まず、道に迷わないためには一人で歩く場合には、テープをはずして歩いてはいけません。テープが見つからないときには無理に歩いてはいけません。霧で視界がきかないときは特に危険ですから、動かないで下さい。テープだけに頼るのではなく、コンパスと地図で方角や地形を確かめ、現在地を確認しながら歩いてください。これは統括者と一緒に歩いているときも同じことです。統括者だけに完全に頼ってしまうことは統括者にとって大きな負担になります。
 道に迷った、と思ったらまず交信して指示を受けるとともに、もと来た道を引き返して、テープのあるところまで戻ってください。それが難しければその場で動かないで待っていてください。そのときにお互いに大声を出したり笛を鳴らしたりすれば他の人からの自分の位置が分かります。無理に動けば体力を消耗します。気を落ち着けてじっと助けを待って下さい。谷を歩いてはいけません。屋久島の谷は急峻で非常に危険です。迷っていない場合でも、統括者の指示のあった場合以外は、尾根を歩いて下さい。
(2)ケガをした
 無理に動いてはいけません。各パーティごとに救急箱を渡してありますから、人を呼んで応急処置をして下さい。また、各自でも必ず傷薬は持参して下さい。
 危険な生き物はマムシとスズメバチです。マムシに噛まれてすぐに処置をしなくてもまず死ぬことはないのであわてないことが大事です。マムシにかまれたら2本の牙の跡が残ります。痛みがすぐにおさまり、30分たってもなんの腫れもなければ、毒は注入されなかったので大丈夫ということになります。調査中ならばそのまま調査を続行してください。傷口を消毒してテープでも貼っておけば大丈夫で、医者にいく必要は全くありません。激痛が持続し、出血がみられ20-30分で患部が腫れてきたら患部を動かさず安静にすることが必要です。とはいえ調査中ならばそこにずっといるわけにはいきませんから、統括者を呼び、できる限りゆっくり歩いてキャンプまで戻ってください。慌てて動くと毒が回りやすくかえって危険です。噛まれた場所をやたらに縛ったり切ったりしてはいけません。強く縛ると虚血になり縛った先の組織が壊死する危険があり全く無意味です。傷口の切開は山の中で行うのはほとんど無意味です。出血がひどくなり、傷口から細菌感染しやすくなるためです。患部を手で圧迫して血を絞り出そうとしても毒はほとんど回収されず無益です。患部を氷で冷やすのも組織の破壊を促進するので不適当です。酒を飲むと毒が回るのが早くなります。血清を注射する場合は6時間以内でないといけませんから、キャンプに戻った後、すぐに車で下山し、医者に行って下さい。治療法の一つに血清を投与する方法があります。しかし、血清によってショック反応が出ることがありますから、皮内反応を行ってアレルギー反応が起きないことを確認しますが、皮内反応が正常でもショックを起こすこともあるのでショックに対する処置(昇圧薬、輸液、ステロイド投与)をできる施設で行う必要があります。また、ショックは1-2週間後に起こることもあるので血清を打ったら1-2週間はショックに対する処置ができる施設の近くにいなければいけません。それが無理ならば血清投与はしないほうが無難です。
 ハチに刺された場合、血の絞り出しは絶対やってはいけません。かえって毒を広げてしまいます。ハチの場合は患部を水や氷などで冷やすのは効果があります。患部の毒を吸い出してはいけません。スズメバチは縦の動きにはあまり反応しないので、近くにやってきたときにはゆっくりしゃがむとやり過ごせます。
(3)台風が来た
 ラジオで台風が来る気配があると分かったときには、統括者は即引き上げて下さい。その判断のためには食当が気象通報を聞いて天気図を書いておくことが非常に大事です。天気の様子については必要であれば随時調査中の統括者に連絡して下さい。

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